[22:16 2005/02/22]
このログは旧掲示板のもので、さみあ様が保存してくださっていました。
この場にてお礼申し上げます。 小川

核融合炉JT-60関係の補遺

【タイトル】超音速飛行掃除機
【 名前 】小川一水
【 日付 】2003/07/21 21:02:57

ロケット型、飛行機型という区分は、トロフィーに関してはあまり意味がありません。あのエンジンは、ロケット的な反動推進を空気を吸入してやっています。同時に機体は空力飛行をしている。問題があるとすれば、それを使い捨てにできるほど安いコストで製造可能かどうかということですね。可能だ、と言ってるのが泰くんです。
ちなみに、参考にしたのは以下のページ等です。
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi13/mm13-6.html 東北大学升谷教授の可変吸入式スクラムロケットエンジン
http://atrex.isas.ac.jp/atrex/teian/1.pdf 宇宙科学研究所ATREXエンジン

第六大陸第二巻、初校終わりました。やっとまともな形の物が完成したということ。あとは細かい文章修正だけです。
明日はちょっと茨城まで遠出し、明後日から導き四巻始めます。
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【タイトル】言語について
【 名前 】星みづき
【 日付 】2003/07/23 12:14:07

>第六大陸第二巻、初校終わりました。やっとまともな形の物が完成したということ。あとは細かい文章修正だけです。
>明日はちょっと茨城まで遠出し、明後日から導き四巻始めます。

楽しみですね!期待してます!

ところで「第六大陸」読みながら疑問に思ったことがあります。それは「彼らは何語で会話しているのか」。特に月面上での会話です。
普通に考えれば英語でも良さそうですが、中国の基地ということでは、中国語で会話しているのでしょうか?それともやっぱり英語?中でも、号泣のシーンではどっちなんでしょうね?
泣き出すほどの状態になっても、英語なのか、それとも中国語なのか。普通は母国語(=中国語)じゃないかって気がするんです(知り合いの外国人達を見ていると、日本人と話す時は日本語でも、会話の最中に母国語に切り替えて話していることが良くあるんです)。実際、妙ちゃんは途中で日本語に切り替えて走也くんと話している(ような描写がある)でしょう?
とすると、走也くんも妙ちゃんも中国語もしっかりわかるのかな?

ちょっとだけ気になる所でした。
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【タイトル】第六大陸1読みました
【 名前 】びるず
【 日付 】2003/07/23 18:43:17

はじめまして。
「第六大陸1」読みました。
作品世界に惹かれ、時間がとれたことをいいことに、後半は一気に
読んでしまいました。
二巻もまもなくということで大変楽しみにしています。

十年以上前、郵便局年末年始のバイトで「特配課」というところで
作業していたつながりで著書の「こちら特配課」に興味を持ちました。
残念ながら1巻目は絶版になっているようで、時間がとれたときに
本屋さん巡りをしてみようと思います。「追伸」と土木SFという
ことで興味を持った「ここほれONE−ONE!」「2」は
早速オンライン発注しました。

今後の御著作も期待しています。
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【タイトル】ほ、ほんもの?
【 名前 】小川一水
【 日付 】2003/07/24 16:18:12

>びるずさん
実際に特配課があったんですか。それはどんなとこだったんでしょう。

>何語
第六大陸内での2国人間での会話は、基本的に英語です。そうでないところはウェアコンで通訳していると思って下さい。確かどっかにそうやって書いたような。

 茨城の核融合実験施設JT−60を見学して来ました。
レポートどうぞ。
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【タイトル】岐阜の核融合実験施設
【 名前 】はらしな
【 日付 】2003/07/24 21:38:08

>現在は、ここと、アメリカのTFTR、ヨーロッパのJETの三つの施設が、大型試験装置として稼働している。

稼動している大型試験装置としてなら、岐阜県土岐市にあるhttp://www.nifs.ac.jp/index-j.html 核融合科学研究所所有のヘリカル炉(直径13.5m)も入るのでは。
http://njb.virtualave.net/nmain0110.html#nmain20021113211352 ここにちょっと書きましたが、毎年11月に一般公開があり、見学できます。
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【タイトル】第6大陸読了しました
【 名前 】SohN
【 日付 】2003/07/24 21:48:48

どうも。
SFとして面白かったということは皆さん書かれているので、私としてはヒロイン像から(^^;
13歳の天才少女とにこにこデートしたり毎週電話したりする25歳ってどうなんだ
とか思ってましたが、計画そのものがすくなくとも10年かかるストーリーなんだ
ということを思い出して何となく納得してみたり。
天才で金持ちで美少女なくせに劣等感というかコンプレックスを持ってて、
しかもそれを自覚していて諧謔のネタと人生のエネルギー源にまでできる
とゆーのは逆に斬新なヒロイン像なんじゃないかと思いました。
いわゆる「完璧美少女系」の突き抜けきった感じですね。
2巻で彼女がどのように成長するのか(しないのか?)楽しみに待ちます。

□追記□
社会人になったのでそろそろSF大会とゆーものに参加してみようかしらんとか
思ったら今年のは先週末だったのですね・・・。8月だと思ってました。
来年こそは・・・。
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【タイトル】こちらは郵便局特配課
【 名前 】びるず
【 日付 】2003/07/25 00:36:21

私の所属していた特配課は、残念ながらカウンタックではなく、軽ワゴンだったんですが、会社事業所専門で書留等の郵便物を配達する仕事でした。小説のネタにもならない普通な特配課ですが、積雪する地方で皆が自転車で頑張っている中、同一賃金でエアコンの効いた車で移動(助手なので運転すらしない)できるのに味をしめて、翌年も面接で特配課指名でやらせてもらいました。

SohNさんの書き込みを見ても思ったんですが、第六大陸は少女の成長も描かれることによって作中の時の流れを感じますね。おっさんの描写だけだと多少の年数ではそう経過を感じることも無いような…

核融合炉のレポート拝見しました。燃えますねーこういう施設は。
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【タイトル】核融合と対消滅の中間。
【 名前 】通りすがり
【 日付 】2003/07/25 15:43:29

>それ以上のエネルギーといえば、物質の質量を百パーセント利用する対消滅エネルギーしかない。
>物理的には、最高から二番目の効率を持つエネルギー抽出方法である。

ええと、理論的的にはブラックホールに落っことす方式で、
核融合と対消滅の中間くらいの変換効率(確か30%くらい)が得られた筈なので、
核融合は少なくとも3番目かと。

それはさておき導き4期待してます。
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【タイトル】次は『ファースト・ライト』……
【 名前 】はめせん
【 日付 】2003/07/27 07:55:46

いや、野本陽代著『巨大望遠鏡時代』(岩波書店刊 ISBN4-00-00524-X)を読み終りまして、
「うわー、第六大陸と相通ずるもんがあるな」と感動しております。
小川さん、次は『ファースト・ライト』でいかがかな。
でも、SFにするには舞台設定とか大変かな。

※ ファースト・ライト…望遠鏡の柿落し。最初の観測のこと
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【タイトル】ふたつだけ?
【 名前 】むかしびと
【 日付 】2003/07/27 14:04:26

はじめまして。導きの星から本を買わせてもらっています。この前偶然本屋で小川先生の新刊がおいてあったので、即第六大陸を買いました。実は、最初の導きの星は、イラストレイターのファンという理由で購入し、今回も、プラネテスのファンだったという理由が半分と導きで小川先生のことをしっていたという理由で購入しました。でも、作品を読んでいくにしたがって、小川ワールドにはまり、今では小川先生目的で本を購入しています。

第六大陸一巻では、計画実現の要として次世代の推進機関が登場していますが、ロケットでもなくジェットエンジンでもない新たな推進機関の構想はないのでしょうか?ロケットもハイブリットロケットなどが出てきていますが、結局ジェットエンジンの方が作品中でも出ているように圧倒的な力を持っています。しかし、いまだ実現できるものにはなっていません。何か新しい推進機関の情報があったら教えてください。  
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【タイトル】今日はまとめてレス
【 名前 】小川一水
【 日付 】2003/07/29 17:12:18

>大型試験装置
 レポートに並べた三つは那珂研のパンフレットの引き写しでした。今調べてみたら、JT−60は「世界三大トカマクの大型試験装置」の一つ、であるらしいですね。土岐のはヘリカル。
 というか、私、「大型試験装置」を一般名じゃなくて核融合炉開発の段階名だと思ってました。実際そうなのかどうかは、ちょっと不明。
 それにしても土岐は近い。一度行ってみようかな。

>核融合は3番目
 しまった、ブラックホールエンジンがあったか。
 その関係で検索したら、「縮退炉」や「重力縮退炉」なんてものがぞろぞろ出てきたんですが、この辺はアニメの架空設定なんかでも使われてて、ぱっと見で事実なのかどうか判別しにくい(^^; 「重力縮退炉」のほうが、この場合のブラックホールエンジンのようですね。
 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kbys_ysm/dabun27.html 小林泰三氏のページとかhttp://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/TOPIC/1999/99sac2.htm 福江純氏のページとかなら正確。確かに核融合炉は3番目以下か。
 あと、さらに相転位機関なんていうものまで含めると、もっと順位落ちますが……含めるべきかなあ? 反物質なら、加速器を使って現実に生産されているんですけど。

>さらに訂正
 ITER計画、脱退した米国が今年一月に再参加宣言したようですね。
 この辺、あとで訂正しておかなければ。

>13歳とデート
「夏への扉」も「惑星カレスの魔女」もそーゆー話です。伝統にのっとったまでです(笑)

>ファーストライト
 某漫画家の人から01年に格安で譲ったもらった望遠鏡、今年の6月になってファーストライトしたという無精者の小川です。いえ、三脚なくて、買うお金なくて……
 短編のネタか長編の一章ぐらいにはなるかなあ。

>新しい推進機関
 パチンコで月へ行くとか気球で月へ行くとか大砲で月へ行くとか(以下略
 いえ、私あのアニメは噂を聞いてるだけで、見てはいませんが……
 核融合関係で一つ、新しい推進機関の話があるにはありました。マイクロ波推進。例のジャイロトロンで育てた技術を使って、打ち上げたロケットにマイクロ波を送り、パラボラで受けさせて、焦点の大気を加熱膨張させ、反動で進むというもの。小さな模型はすでに作ってる様子。
 でも、エネルギー効率的には、主力にはならなさそう。軌道エレベーターかマスドライバーが現実的かな。


 で……話は変わりますが、導き4がまだ総力戦になってないので、元祖ガンダム全43話、初めてビデオで通して見ました。テレビ放映は小学校低学年のとき断片的に見ただけだったので。
 そしたら、レインボウ・プラネットに出した太陽熱集光砲、思いっきり使われてました。まさかこんなメジャーな作品に出てたとは……(・_・、 潜在意識にすりこまれてたのかな。
 また、今書きたいと思っている船舶放浪もののルーツであることも発見。なるほどここから来てたのか。やっぱり楽しそうだな、ホワイトベース。
 今までガンダムは嫌いだったんですが、けっこう細かく気配りが行きとどいてて、かなり見直しました。20年続編が作られるだけのことはある。ダース単位でツッコミどころもありましたが、まあそれは後知恵。自分が当時思春期だったら、ハマっただろうなあ。
 でも、乗組員全員十代って、私には書けません。私の知ってる十代は、もっとアホでしたから……世代の差か。
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【タイトル】核融合研究の現場から(その1)
【 名前 】櫻井
【 日付 】2003/08/03 22:41:08

 はじめまして、取材記で取り上げて頂いたJT−60で働いている櫻井と申します。ポプラパレスの頃からの読者です。
 名古屋出身なのでアースガードでは思わずニヤリとさせられたりしました。回転翼が出た時に近未来リアル路線の方が向いているのではと思いましたが、イカロスの誕生日や群青神殿、今度の第六大陸等まさに楽しませて頂いてます。
 このホームページもずっとROMっていましたが、自分の職場を紹介して頂いたのでとうとう我慢できず書込んでしまいます。
 宇宙作家クラブの方々の見学が有ることは予め聞いていたので、楽しみにしていたのですが、当日は都合が付かなくて作家の方々と御会い出来ませんでしたが、ホームページで好意的に紹介して頂いて感激です。同僚達にもこのページを紹介したところとても好評の様です。
 同じく宇宙作家クラブの青山先生のホームページの日記でもJT-60の見学のことが書かれていますが、作家の方は単純に物だけでなく、その物に関わる人に注目したりするのかと新鮮な思いです。
 折角ですから、JT−60の取材記について少し説明のフォローをさせて下さい。
現在稼動または建設中の比較的大型の核融合研究装置は、プラズマを磁場で閉じ込める方式ではトカマク型のJT−60(日本)、JET(EU、イギリス)、ヘリカル型のLHD(日本)、Wendelstein 7-X(EU、ドイツ、建設中)、ミラー型のガンマ10(日本)等が有ります。
 アメリカのTFTRは数年前に終了して分解されて、中型の球状トカマク(トカマクの一種)が新たに作られて動いています。プラズマを瞬間的に加熱して慣性で保持する方式では、加熱と圧縮にレーザーを使う激光12号(日本)とNIF(アメリカ、建設中)が有ります。また、蛇足ですが、JT−60の所在地は那珂「町」です。
 それぞれの方式の特徴等は、各々の研究機関のホームページ等を見て下さい。
http://jspf.nifs.ac.jp プラズマ・核融合学会のホームページ のリンク集から辿れます。(本部は名古屋です。実は名古屋は日本のプラズマ研究の発祥&中心地だったりします。)
 http://www-jt60.naka.jaeri.go.jp/ JT−60のホームページ からも色々と辿れます。
 また、核融合全体の入門については各研究機関のホームページにも有りますが
http://members.tripod.co.jp/s_kawada/nf.html 学生さんの個人ホームページ がお薦めです。
 少し長くなりそうなので、ここで分割させてもらいます。
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【タイトル】核融合研究の現場から(その2)
【 名前 】櫻井
【 日付 】2003/08/03 22:45:39

 JT−60が置かれている本体室と周辺の幾つかのエリアは管理区域になっています。法律上厳密に管理されていますが、運転中に発生する放射線や運転直後の機器の誘導放射能に対する防護のためで、見学者が入れる所が汚染されていたりする訳ではありませんので御安心下さい。また、見学者の方が何時も勘違いされるのですが、写真7は入退室管理用のバーコードが貼られた、ただのアクリル板です。見学時は独り独りバラバラの行動をされる訳では無いので、記録のための線量計は見学者全員ではなくて、代表者の方にだけお渡ししている筈です。我々も通常の作業時はガラスバッジ(3ヶ月毎に積算線量を測定)だけで、リアルタイムで測定する線量計を使うのは運転直後に機器のメンテナンス等で入室せざるを得ない場合や、年に1度の真空容器の中のメンテナンス作業の時くらいです。御期待に添えず申し訳りません。
 写真9ですが、負イオン源中性粒子ビーム加速装置の電源回路等が入った高電圧テーブルです。なにせ加速電圧が500kVもあるのであれだけの碍子が必要なのです。周りもフェンスで囲まれて近付けないようになっています。JT−60本体や加熱装置の変電設備は実験棟とは別の区画に有ります。275KVの送電線から受電していますが、全電力を送電線から直接取ると負荷が大き過ぎて系統の周波数が乱れるので、ドでかいフライホイールが付いた発電機を廻してプラズマ放電中に必要な電力はフライホイールから引出すようにしています。制御室で回転数がモニタできるのですが、放電と放電の間にじわじわと加速していき、放電の為に磁場コイルに電流を流し始めると回転が急激に落ちるのを見ていると、ヤマトじゃありませんが、思わず「メインエンジン始動。フライホイール接続...」と呟きたくなります。
 写真13のプレートですが、JT−60が出来た最初の時の物です。10年位前に交換した真空容器は三菱製ですし、川重や石川島播磨等もITER(国際熱核融合実験炉)の設計開発等に参加しています。
 ITERの動向ですが、共和党政権になって米国は復帰しましたし、中国と韓国(両国とも現在中型の超伝導コイルトカマク装置を建設中)も正式に参加します。最終的にどの国に建設されるかは年末頃までに決定されると聞いています。この辺の動向は文部科学省や総理府の原子力委員会等のホームページで情報が公開されています。
 写真18は核融合の関係者でも時々間違えるのですが、実はJT−60の一部じゃないんです。これは20年位前に国際協力で将来の核融合装置で必要になる大型の超伝導コイルの試作競争を行ったLCT計画(米国が3個、日本、ドイツ、スイスが各々1個を製作)の物です。現在のJT−60の真空容器の一部(ドーナツの20度分)は制御棟(中央制御室の有る建物)の玄関前に飾られています。 
 その3に続きます。
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【タイトル】核融合研究の現場から(その3)
【 名前 】櫻井
【 日付 】2003/08/03 23:02:10

 JT−60は、ここ1年位運転されていないので、実験の様子を見学して頂けなくて残念なので、JT−60の実際の実験の進め方を簡単に御紹介します。
 月曜は機器の点検等にあてられる事が多いですが、火曜から金曜は、昼休みと夕食休みを挟んで、2直制で朝の9時から夜の9時まで実験をやってます。機器の運転は朝8時から立ち上げますが、全ての機器が完全に調子を出して本格的な実験になるのは11時頃になります。大体、20分位の間隔で15秒の放電が行われます。
 実験を指揮する実験主任が実験の提案者と相談して、プラズマに電流をどういう波形で流すか、プラズマの形状をどんなタイミングで変化させるか、どのタイミングでプラズマをどれだけ加熱するか等を決めて、ワークステーションの画面上でGUIを使ったプログラムで入力していきます。入力された条件が各機器の動作条件と矛盾していないことがチェックされた後、各機器毎の制御計算機に制御プログラムが送られて実際の放電のシーケンスが開始されます。
 放電中のプラズマの温度や密度、電流分布、含まれている不純物等はそれぞれの計測器で測定されて放電終了後にデータ処理されてX端末や各自のパソコンから表示できる様になります。プラズマの性能を上げる為に少しづつチューンしていく実験では、次の放電までに、どこが悪かったのか調べて次回の放電条件を考えなければいけませんので、修羅場になります。
 一日に30ショット程度しか放電が無いので、1つの放電の前半と後半で別々の目的の実験が相乗りになることが珍しく有りません。こうなると、余程慣れた実験主任でないと、もう大混乱です。また、放電の前半の実験でプラズマに無理をさせ過ぎてプラズマが潰れてしまった時等、後半でデータを取るつもりだった研究者と喧嘩にならない様、日頃の人付き合いが非常に重要です。
 夜9時までに実験は完了しますが、研究者はその後も当日の速報結果をまとめて、翌日の実験予定と内容を議論しますので、大体真夜中頃までは中央制御室でデータと睨めっこしています。こんな感じの実験が4、5年前までは年に20〜30週位ありました。ここ数年は予算削減で10週以下しか実験できていませんが、それなりに工夫して今迄以上の成果を出すよう頑張ってます。
 今年は10月頃から実験を再開する予定です。中央制御室の様子はWebカメラで公開されているので興味のある方は http://www-jt60.naka.jaeri.go.jp/ JT−60のホームページ から探してみて下さい。
 書込むべきかどうか1週間悩みましたが、研究所なんて処で仕事していると、世間の人に直接説明する機会が全然無いのです。折角の機会ですので、長々と書込ませて頂きました。御質問等あれば個人の立場でならお答えできますので、お邪魔で無い様でしたら、この場を借りてできる範囲でお答えさせて頂きます。
 最後になりましたが、小川先生の次回作、いつも期待させてもらってます。野尻先生の掲示板で第六大陸は次巻で完結と知って驚きました。もっと引き延ばせるだけの密度はあると思っていたので。でも、読者を驚かせるだけ一冊に詰め込むのがスタイルかもしれませんね。
 導きの星は1巻を読んだ時点で、代表作と言える名作になる可能性が大だと思い、完結後に一気に読んだ方が、出版をじりじり待つより精神的に良さそうだとおもったので、2巻以降は購入したまま封印して、勝手に2巻以降の展開を想像して楽しんでいます。
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【タイトル】JT-60について
【 名前 】ZAN
【 日付 】2003/08/10 02:26:32

・櫻井殿
よこから失礼いたします。単なるSF好きのZANと申します。

JT-60についてお伺いしたいのですが。
HPをいろいろ検索しても、「臨界プラズマ条件を達成した」とはあっても、
「核融合した」と明確に書かれた文章を見つけることが出来ませんでした。
ここでの文章では、
http://www.jaeri.go.jp/jpn/publish/01/ff/ff30/randd.html
D-T相当で臨界だけど、Tは使っていない、つまり核融合は起きていないと
いう文章に読めます。
実際のところ、トカマク型で核融合が実際に起こせたという実績はあるの
でしょうか?
阪大のレーザー核融合の方は、実際に起こせたようですが。

お暇なときにでもご教授いただければと思います。よろしくお願いいたし
ます。
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【タイトル】リトルスター以来だなあ……>ローソン条件
【 名前 】小川一水
【 日付 】2003/08/10 03:29:38

 そういえば、私も誤解していたかも。
 JT−60は1996年に臨界プラズマ条件達成、1998年にエネルギー増倍率1.25倍を達成したそうですが、これは、温度・圧力・燃料密度の条件を、とりあえず重水素だけで揃えてみた、という話のようですね。すると、レポートのそこのところも修正しなきゃいけないな。

 櫻井さん、ありがとうございます。すみません、レスはもうちょっと遅れます。
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【タイトル】核融合反応とエネルギー増倍率
【 名前 】櫻井
【 日付 】2003/08/11 02:34:51

>小川先生
お忙しい処、失礼いたしました。御時間の有る時にゆっくり見直していただければ幸いです。

>ZAN様
我々の説明不足なところを指摘していただいてありがとうございます。

燃料や臨界条件について、まとめて説明させていただきます。
JT−60ではD(重水素)のみを使用しているので、
 D+D −> He3(ヘリウム3)+n(中性子)
 D+D −> T(三重水素)+p(陽子)
の2種類の「核融合反応」が起こっています。
(厳密に言うと、DD反応で出来たTと燃料のDが反応するDT反応も僅かに起こっています。)
 但し、DD反応はDT反応に比べて1/100程度しか起こらないので、実際に測定された核融合出力は100kW程度です。原子核物理の知識から、DDとDTの反応の起こりやすさ(反応断面積)は厳密に判っているので、同じ温度と密度の分布で、燃料の半分がTに置き換わった場合の核融合出力を求めることが出来ます。こうして推定したDT反応時の核融合出力と加熱パワーの比を(等価)エネルギー増倍率Q(eq)と呼んでいます。
 Dの半分をTで置き換えてまったく同じプラズマが閉じ込められるかという疑問があるかもしれませんが、閉じ込め自体については重い粒子の方が良いので問題ありません。実際、H(軽水素)とD(重水素)のプラズマを比べるとDの方が閉じ込めが良いことが確かめられています。
 JT−60では1996年に等価エネルギー増倍率が1を超え、1998年に1.25(世界記録)を達成しています。発電効率なども含めて実際の発電プラントとして100万kW程度の出力を得るためにはQ=30〜50が必要で、Q=∞になると外部から加熱しなくても燃料さえ補給すれば自分自身で燃え続けるので、自己点火条件と言っています。
 ところが、実際には、現在の大型装置では、中性子による装置の放射化を嫌って、DT実験は殆ど行われていません。数少ない例では、アメリカのTFTRが計画終了の直前に加熱用中性粒子ビームの一部をDビームからTビームに変えて、実際に数MWの核融合出力(中性子発生量)を得ています。その後、EUのJETでもDT実験で10MW程度の核融合出力を達成しています。(ビームだけでなくプラズマ自体もDT混合にしていたかもしれません。)

 レーザー核融合については、それほど詳しくありませんが、アメリカで建設中のNIF、または大阪大学の激光12号の増力が認めらた場合、Break-Even条件(磁気閉じ込めでの臨界条件)を超えてくることは確実だと思います。また、DTの燃料ペレット(水素を多く含む樹脂のHをDとTに置き換えたタイプ)の製作技術をNIF向けに提供している様な話を聞いた覚えがありますが、阪大で実際にDTの実験をやっているかは知りません。個人的には、国内では規制が厳しくて難しいとは思いますが。
 ちなみに、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の大型ヘリカル装置LHDでは、地元住民の反対の為、DD実験すら行わせてもらえず、未だに軽水素での実験を余儀なくされているそうです。茨城は地元の理解が有るので助かっていますが、ITER(当然DT実験です)を日本に誘致する気があるなら、国にも、そのあたり本腰を入れて貰いたいところです。

 以上、簡単ですが説明になっていると良いのですが
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【タイトル】ここでコーヒーブレイク的ニュース紹介。
【 名前 】つくも
【 日付 】2003/08/11 09:53:04

ロシアの飛行士が宇宙で結婚
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030811-00000266-jij-int

まあ、新婦のほうは地上にいたわけですが。
これを第一歩として、いつかは月を故郷とする子供が
誕生するのかもしれませんね。

第六大陸、拝読させていただきました。
本を閉じてから、ふと考えました。

パックスアメリカーナは宇宙開発においても妥当し続けるのでしょうか?
現時点では、その可能性が高いようにも思えます。
しかし、合衆国自体が英国の植民地から始まったことを考えれば、
そしてまた歴史が繰り返すものなのだとしたら。
何らかのドラマが生まれる可能性はまだまだある。

そんなことを思った、読後でした。
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【タイトル】JT-60の核融合
【 名前 】ZAN
【 日付 】2003/08/11 11:53:42

・櫻井殿
詳細な説明、ありがとうございます。
DD反応が多少は起きてはいるが、発表されている増幅率はDT使用時の推定
ということで、知りたいと思っていたことは、これで全部すっきりしまし
た。
ともかく。トカマクでの核融合が実際に出来ていたというのは、最近聞い
たことでして。ここまで出来ているのなら、実用化には、あとはお金と時
間の問題ですね。

ITERの誘致に向けての問題は、燃料であるトリチウムの危険性と、反応時
の中性子、及び中性子による炉素材の放射化でしょうけど。
http://www.gasho.net/stop-iter/documents/q&a/q&a.htm
ここのページなんかは反対派ですが。素人が読んでも?が連発されるような
内容です(運転中に1.5Kのトリチウムは多すぎませんか?(^_^;))。物理を知
らない人間に恐怖を増幅するだけの間違った知識を垂れ流すのは、テロだと
いうのが持論ですが。

ただ。ITER誘致側にしても、詳細な情報が出てきていないのが実情です。確
かに地域住民は「素人」ではありますが。相手が素人だからこそ、それこそ
小学生に授業をするくらいのレベルでの説明を行なうことが必要に思います。
一般人の感覚では、「原発=原爆」「核融合=水爆」なのですから。
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【タイトル】はやく続きが読みたい
【 名前 】Masao
【 日付 】2003/08/14 13:43:55

はじめまして。
「第六大陸」買ってから二週間ほど放置してたんですが(スミマセン…)、
今朝初めて開いて、一気に読んじゃいました!
キャラクターも物語も楽観的なとこ、それからテンポ良くどんどん進んでいくとこ、
あと、なんと言えばよいか、ヘンにオタクっぽくないところが気に入りました。
他の作品はどんな感じなのでしょう?
さっそくこれから本屋に行ってきます(夏休みでよかった!)。

第二巻の発売楽しみに待ってます。それでは。
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【タイトル】世界初の海中高級ホテルを建設 中東ドバイ沖に
【 名前 】emanon
【 日付 】2003/08/17 19:31:08

やってやれないことはないんですねー(URL参照)
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