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Rep.11 500メートルの天国
(セスナ172搭乗記)
2003.11.12搭乗 同日記

写真11-01 セスナ172型
 以前パラグライダーのレポートで、空を飛んだ経験は11回と書いた。
 12回になったぞ。うふふふ。

 小型プロペラ飛行機物を書いているので、小型飛行機に乗ろう。
 そんな安直な発想を実行に移したきっかけは、料金が思いの他安かったから。近所の名古屋空港の中日本航空に、セスナ機の遊覧飛行コースがあるのを発見した。名古屋市一周20分で9200円。さくっと行って来ました。

 予約は必要なし、天候だけ電話で問い合わせて出発。催行は二名からなので、妻を同伴。
 現地に着いて、住所氏名を申告して料金を支払う。落ちても文句言いませんの誓約書はいらなかったし、体重検査もボディーチェックもなし、いささか拍子抜け。
 待つこと十分で、準備ができたとの由。事務員に案内されてエプロンに向かう。フライトプランって簡単に出せるんだなあと感心したが、あらかじめ決められたコースでの遊覧だから、当局にひな型を提出済みなのかも。


写真11-02 エプロン

写真11-03 格納庫
 格納庫には思ったより多くの機体があって、この時点で私はすでに有頂天。
 エプロンにも各社の機体が並んでいて、これから乗る機体もドアを開けて待機していた。
 セスナ172型は、四万機売れたセスナ社小型機のベストセラー。乗員4名、巡航速度165Km/h、全幅10.1m、全長8m、全高2.7m、航続時間5時間、実用上昇限度4000m 、最大離陸重量1080Kg。
 軽自動車が空を飛ぶようなもの、いや、椅子は軽よりチャチ。ちなみに、大戦中ドイツのメッサーシュミットBf109戦闘機と、幅がほぼ同じで長さが1m短い。
 あとで思ったけど、当時の戦闘機はこんな小ささで時速600キロ出したんだよなあ……恐ろしい。


写真11-04 コックピット
 後席に二人で乗り込み、前席にはパイロットだけ。
 パイロットが地上管制と交信しながら、エンジンの調子を見る。ただのプラスチックの箱のように機体がぶんぶん響く。スピーカーは天井で大音声、マイクは必要なときだけ口元にもっていってぼそぼそ。ヘッドギアはなし。


写真11-05 椅子とドアレバー
 ヘタった革の椅子と、軽くあげると開くドアレバー。なんともお手軽。
 後席の後ろには奥行50センチばかりの軽そっくりの荷室がある。


写真11-06 計器類
 三段四列のメーターをわかる範囲で説明すると、
一段目左上から速度計、傾斜計、高度計、VOR(超短波全方位電波灯台受信機)1、
二段目旋回計、方位計、昇降計、VOR2、
三段目エンジン回転計、といったところ。
 スロットルは右手の陰の、車のチョークのような小さなつまみ。


写真11-07 F-16?
 滑走路手前まで移動して、離陸許可待ちに五分ほど。
 背後をF−16のような戦闘機が走っていったけど、小牧にそんなのいたっけ。

写真11-08 滑走中、後方
 タワーから離陸許可が出て滑走開始。


写真11-09 滑走中、前方
 エンジン音はブゥーンという連続音。要するにいつも頭上を飛んでいくセスナの音そのもの。さすがにうるさいものの、大声を出せば会話できる程度。
 振動もそれなりにあるけど(タイヤは小さいしサスペンションは申し訳程度)、加速感は以前運転したことがあるインプレッサWRXの方が上。まあ、あっちは260馬力でこっちは160馬力だから仕方ない。
 わりと軽快に加速して、するする浮いた。隣で固まっていた妻は、教えるまで離陸に気づかなかった。


写真11-10 するする


写真11-11 巡航開始
 南北に一本だけ伸びている名古屋空港の滑走路から、北向きに無事離陸。小牧山を右手に見下ろして左へ旋回、上昇。この遊覧飛行は、南の名古屋港まで行って帰るコース。
 180度旋回したあたりで巡航高度、速度に。1500フィートと100ノット、つまり高度500メートルで時速180キロ。
 一番大事なのは飛行時の感覚。これを知るために乗りに来た。前後左右に振れ幅20センチほどの揺れが不規則に襲う。水平移動はするものの傾斜はない。例えて言うと、ベアリングを敷き詰めた上のお盆で、ゆさゆさ振り回される感じ。周り中からキシキシコトコトと小さな音。
 さて、ここからはしばらく、文字通り高みの見物だ。


写真11-12 名古屋城


写真11-13 右車輪と名駅ツインタワー


写真11-14 栄のテレビ塔と立体公園オアシス21
 アースガードを思い出してしまった。(笑)

写真11-15 名古屋港ガーデン埠頭


写真11-16 JR金山駅


写真11-17 名古屋空港を西より見下ろす
 名古屋上空を蛇行して、20分ほどで空港に戻ってきた。
 飛行中の体感速度はのんびりしたものだが、都市高速を見下ろすと車のほうがずいぶん遅い。当たり前だ、こっちは国産車のメーターを振り切る速度なんだから。
 この日、天候は晴れ、雲量は4割、雲底は1000メートルほど、風速はほんの4、5メートル(正確な情報を聞き忘れた(・_・、)で、感覚的にはかなりの好天だったが、揺れが皆無ではなかった。前記のような振動がずっと続いて、一度だけ、50センチの段差から落っこちたような衝撃がガクンと来た。空は見た目より複雑らしい。


写真11-18 楠上空から、南西に庄内川を見下ろす


写真11-19 名古屋市北区の学校
 出ちゃったよ、あのセリフが……(笑)
「はははは、人がゴミのようだ!」


写真11-20-1 着陸進入
 わかりにくいが、滑走路の左側に赤白四つの灯火がある。

写真11-20-2 PAPI
 これはPAPIと呼ばれる進入角指示灯火で、こちらが低すぎると赤が3つか4つ、高すぎると白が3つか4つ見えるようになっている。
 この写真はちょうど赤白2個ずつ。すなわち最適な進入角度なのだ。いや、当たり前なんだけど。フライトシミュレータで覚えたものがそのまま存在していたので、ちょっと感動(笑)

 ここでおまけ。着陸時に横の窓から撮った動画をどうぞ。
(サーバ容量逼迫につき削除 18:07 2004/10/20)


写真11-21 着陸脚のステップ  車輪はディスクブレーキ
 着陸はほとんど衝撃のない見事なものだった。
 滑走路半ばで止まって左折、エプロンへ。あっさり駐機。背後を双発ジェット旅客機が離陸していった。
 ジャンボだろうがセスナだろうが、離着陸のときは滑走路を貸し切りで使う。大型機を待たせて堂々と降りるのはちょっと気持ちよかったぞ。


写真11-22 客室
 これが20分間滞在した室内。なんともコンパクトだった。
 正式な取材じゃなかったので、パイロットの方の氏名は聞かずじまい。こっちも名乗らなかったし。


 以上で搭乗記おしまい。
 ナイトクルーズやクリスマスなどのハイシーズンは、ペアで一回三万円以上と高いのだけれど、平日昼間だと意外にお手軽。また行ってみようかな。


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