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小川遊水池管理事務所


[18:18 2005/03/16 水]  はいからロコモーション

 早川の仕事が終わったので、いよいよソノラマの鉄道ものに着手。
 今日は犬山市の博物館明治村に行って、半日ほどSLに乗ってきました。
 私はいわゆる鉄ちゃんではないので、何を見てもおもしろかった。下手に詳しいと不満が湧くんでしょうけど。

 ここのSLは2台あって、写真の9号は米国ボールドウィン社が1912年に製造したもので、御年93歳。もう一台の12号にいたっては1874年製というからなんと131歳ですよ。
 それが生きて走っているのだからすごいですね。近場にこんなところがあってよかった。


 転車台は手動。
 というかここは連結器も手動(三人がかりで鎖をかけてネジをしめる)。切符売りも手動(車掌さんが配ってまわる)。なんでもかんでも手動。駅員さんはなし。自動なのはバネで跳ね戻る転轍機だけ。(笑)
 列車システム全体を、たった三人で運行してるんですよ。指令所とか信号所とか給電所とかなんにもなし。スタンドアローン! いや驚くようなことじゃないんだろうけど、プリミティブでいいなあ。


 こちらは1908年製の客車。国産。
 木です。木製です。三等車なので材木の種類はたいして高級じゃないと思いますが、百年たつとさすがに味が出ますね。
 入り口は狭く、椅子の座りしろは浅いです。当時の日本人の体格だとこれぐらいでよかったんでしょう。ありていに言って貧乏くさい。しかも窓が小さい。火でもついたら乗客は丸焼けになること請け合いです。後の時代に実際に何件も火災事故が起こったので、燃えないよう、逃げやすいよう、鉄道は進化しました。
 これは、そんな工夫が考え出される前の、まだ何も知らなかった日本人が一生懸命つくった客車。

 動き出すと揺れます。きしみます。時速20キロ程度なのに最悪な乗り心地です。(あとで、最悪ではないとわかるんですが)。キシキシピシピシがたごーがたごーがっちゃんごっとん。
 機関士さんは、線路が悪いからと言っていましたが、もともとこんなもんだったと思います。皆さん、手製の台車を作ったことがありますか? ホームセンターからキャスターとか買って来て。私は子供の頃あるんですが、単にキャスターつけただけの板きれって恐ろしく乗り心地が悪いですよね。
 そういう原始的な代物から、現代の新幹線にいたる長い進化の道があった。明治村の客車はその進化の道筋を、半分も進んでいない位置にあるんでしょう。



 朝から昼過ぎまでSLに乗って堪能したので、次は路面電車へ。
 元は京都の市電です。今日は明治村40周年とかで、ちょっと趣味がアレな花電車になっていました。これも長年月を生き延びてきた古参車輌で、足回りは米国製、運転装置はイギリス製、モーターはドイツ製から国産へ、とツギハギだらけになっていますが、実は日本最初の市電です。それまでは機関車ばっかり。
 運転席を見ると、装置はノッチレバーネジ式ブレーキしかない。思いましたよ。
「おおおおハイテクだ!」
 機関車の運転席に比べるとずいぶんシンプルですっきりしちゃってる。何しろ機関車は、さっきの9号でさえ13個のバルブと何本ものレバーがありましたからね。それに比べたら魔法のような進歩。当時の人々も感心したと思います。

 一日乗車券で乗車。そして発車。
 ……うるさっ! 揺れるっ! なにこれ! 一緒に乗ったカップルこけたよ!
 現代の鉄道とは隔世の感があります。先に機関車が最悪だと書きましたが、それ以下でした。床下にモーターがあるということが、これほど露骨に影響をおよぼすとは。高橋団吉氏の本で、昔は電車のほうがゲタ電と呼ばれて乗り心地が悪かったのだと書かれていましたが、うーむそれはこういうことか。確かにこれで10キロも20キロも移動したくはない……。

 でも面白いことにね、止まってる時は静寂そのものなんですよ。無音。電動だということがよくわかる。今風のファンとかコンプレッサーなんてものは一切ついていない。へんな言い方ですが、とてもかわいいです。
 つまりこれも、「原型」なんだろうなあ。原型だと暑いし不便だしいろいろ限界があるからと考えて、後世の人がどんどん部品を増やしていった。その結果、鉄道は快適で便利になった。
 たいていの人は、昔はシンプルでよかった、今のものはごちゃごちゃしてよくない、と言います。でも私はそう言い切れない。改良を望んだ昔の人の気持ちがわかるから。



 市電のつり革。
 これがいっちょ前にユニバーサルジョイントなんですよ。しかも三素材。上から革・木材・籐……。革の輪っかをぶら下げるだけでいいと思いませんか?
 でもそうはしない。一定の質を保とうとしている。上の明かり取りの窓ガラスにも透かし彫りだかエッチングみたいなのが施されている。窓の日よけにしても、カーテン一枚で済むところを、わざわざよろい戸をつくってある。
 明治だからか、京都だからか、イギリス原産だからかわかりませんが、どうものどかなんですよね。設計者たちのやりとりが想像できる。「ここんとこ輪っかで済ませたら安く済むんじゃない?」「何を馬鹿なことを。発想が卑しいよ君は」なんて感じじゃないかと。

 もう一つおもしろかったのは、このつり革が私に最適だったこと。
 おかしいんですよ、身長173センチの人間に最適だなんて。当時の日本人って160センチぐらいでしょう。これは西洋人の影響じゃないでしょうか。西洋人がじかに設計したのか、それとも西洋人の設計を日本人が何も考えずに真似したのかは、わかりませんが。
 きっとこの電車の乗客は、内心ぶつぶつ言いながらぶら下がっていたんだろうな。


 その他に拾ったネタは作品の中で。
 全然関係ないことですが、セントレア問題を先取りした秀逸なちょんぼを見ました。愛知県は(それとも国交省か)尾張パークウェイの道路標識を見直したほうがいいと思います。
「リトルワールド Ritoru Warudo」って看板を見たときは正気かと思いましたよ。こういうのができるまでには、看板を作ろうって言った馬鹿と、作っていいって言った馬鹿と、作った馬鹿の、少なくとも三馬鹿がいたわけでしょう。ああそれと、そういう法律を定めた大馬鹿もいるんだ。
 誰かやめろって言わなかったのか。


[23:10 2005/03/12 土]  RCB2 004 リアキャリア装着


 京都のLOROさんに頼んでリアキャリア作ってもらいました。
 デイパックの肩ひもをクロスさせてバックレストに通すと、ちょうど載っていい感じ。
 体が慣れてきたらしくて、乗り心地もよく感じられるようになりました。これはいよいよ使えるか? と思ったんですが、今日は雪で寒いだけでした。

 気になる点がいくつか。ズボンの右の裾がフロントディレイラー(というらしい。変速機の部品でチェーンを左右に動かす部分。初めて使う単語だ)に引っかかって足をとられました。輪ゴムでなんとかしたけど、ベルクロのバンドを買いたい。
 漕ぐ行為がけっこう快適なんですが、いかんせん筋力が足りなくてすぐ太腿が痛くなる。鍛えなきゃ。
 噂どおり、向かい風には強いです。普通の自転車に比べて、風圧は体感で半分。

 購入オプション:
  リアキャリア 3600円ぐらい
  鈴 400円
 あとまあ、ブルジョワっぽいので本体価格を隠していましたが、書いてしまうと13万円ぐらいでした。


[18:41 2005/03/03 木]  RCB2 003 初乗り

 リカンベントを初めて実用運転しました。
 感想・ラッコ
 前カゴないでしょう。リアキャリアもないでしょう。仕事用のデイパック、そこにしか置けないんですよ。腹の上。腹に抱えて漕ぐの。
 だから重いわかっこ悪いわ……。
 とりあえずキャリアをつけなければ話にならないということがわかった。というかそんなこととっくにわかっていろよ俺。
 
 購入オプション:
  LED白ライト2300円


[21:00 2005/03/01 水]  TDR


 東京ディズニーリゾートに家族で行ってきました。
 やー、すごかった感動した。行ったのは十年ぶりで、もう驚きの連続でした。あそこの運営陣は絶対に敵に回したくない。
 ポール一本、ボタン一つ、バスのエアコンの排気口から雨樋まで、フルオーダーで作ってやがんの。経費節約は一切なし。娑婆くさいハードウェアは偏執狂的なまでに排除、視界内のものはすべてディズニー印! という完全人工世界でした。養老孟司流に言うとまさに唯脳界。運営陣のフィロソフィーがどんな物陰にまで行き届いていた。これは一人勝ちも当たり前でしょう。よその遊園地でここまでのやる気って見たことないもん。
 それにディズニーシーの夜のイベント「ブラヴィッシーモ」も圧巻でした。テクノロジーとマンパワーを惜しみなく注ぎ込んで、とにかく無駄に派手に無駄に豪華に構成された噴水と火炎放射の競演。うたい文句にあった水と炎の精霊うんぬんについては毛ほども連想させられませんでしたが(だって火の竜なんかアクチュエータの見えるアームですよ)、花火に類するものとしては無上に楽しく見られました。
 以下、私がいちいち感動したところ。

・ホテルからモノレールの駅に向かうシャトルバスのエアコンの噴出し口のプラスチックカバーがディズニー型。
・ものすごい量の植栽。ビニールやブリキの偽物植物は一部を除いて使われていない。海辺の人工島にこれだけの植物を植えるには、一体いくらの費用とどれだけの手間がかかっているのか、考えるだけでも恐ろしい。
・園内、アトラクションごとに職員に個別のユニフォームが与えられている。
・細かな調度も(行列誘導ポールから通路の屋根の鉄骨にいたるまで)アトラクションごとにフルオーダー。量産効果の対極。
・職員が若い(ほとんど二十代だった)。女性が多い。
・職員が多い。(何か頼みたい時に、視界内に職員がいなかったためしがなかった。何万人も客のいる園なのに)
・職員が笑顔。(教育が行き届いている、というレベルではないような気がする。他の園なら事務的なおっさんがいくらでもいそうなもの。日本一の遊園地職員の誇り? もしくは、そう言い聞かせる人員操作術か)
・それらの職員が、たいていのファーストフードよりも重労働であろうこと。(マックと違って客は絶対に途切れず、長蛇の列になっている)
・どんなチャチなアトラクションでも、掃除・リフォームが行き届いていて、古びやほころびを感じさせない。(十年ぶりにホーンテッドマンションに入ったが、ほとんど破損や汚れがなかった)
・そもそもチャチなアトラクションがあまりない。多分、面白さに関する内部規定がある。信じられないような細かいところまで手がかかっている。乗降場の床の案内文字なんかペンキでよかろうに、真鍮の鋳物の埋め込み……。
・自販機がない。ゴミが出るものを置いていない。ゴミ箱は数分に一度の割合でチェックされている。(隣に十分座っていたら、職員二人が覗いていった)要するに汚いものは徹底排除。
・露店のレジスターはカバーされて見えない。(建前上、魔法の世界にバーコード読み機なんか存在してはいけないため)
・露店の張り紙や手書きポップなどが厳禁されている。値段は商品に小さくラベルが張ってあるか、店のプレートに記入してあるだけ。
・露店の行列には必ず職員がついて人を誘導している。
・植え込みに「入らないで下さい」などの立て札が一切ない。
・園内放送用のスピーカーがとても多い。(二、三十メートル間隔?)
・スピーカーが驚くほど音質がいい。
・スピーカーがほぼ人の高さにある。
・よって音量を落とすことができるので、到達範囲が狭く、スピーカー同士で干渉しあわない。ただでさえ音がいいのにますます聞こえやすい。
 多くの遊園地では少数の高いポールの上にスピーカーを配置し、大音量で鳴らすので、音が割れるし干渉して安っぽく不快。ここでは大変な数のスピーカーを投入して力技で改善している。
・さらにメインストリート沿いのスピーカーは個別制御。パレードが通るとそれにつれてBGMも移動する。もうね、気配りにもほどがあると。
・ディズニーランド、ウェスタンリバー鉄道の陸橋。中身はおそらく鉄の桁橋だろうが、木造の橋に見えるようカバーされていた。注意してほしいのは、「乗っている人間にとってまったく見えない上、見えたところでなんら問題がない」にもかかわらず木造に偽装されていたこと。別の場所から風景として橋を眺めた客が鉄橋を目撃しないように処置されている。
 客をアトラクションで楽しませるだけではなく、異界で包んでやろうという運営の思惑が見える。
・たいていのアトラクションで、数十分待たされることが当たり前になっている。
 これは本来運営側の不手際のはず。待たずに遊べる程度まで客を制限するのが本当の親切というものだが、そうはせず、むしろ待つのが当たり前という世界を作ってしまった。一部のアトラクションでは行列中に前フリが放送されたり、展示物を見ることができたりして、行列すらアトラクションになっている。
 露店、アトラクションを問わず、行列制御がとんでもなく熟成されている。列の長さに応じてロープ張りや待ち時間表示がきめ細かく変更されている。職員の数が多いのでそれが可能。

・大量の人間を本来満足でない環境に導いて、いかに満足させるかということに対して、莫大なノウハウが編み出され、投じられている施設だという印象を持った。発想の徹底性が実にアメリカ的。戦略爆撃的。日本の他の遊園地や動物園、テーマパークなどでは、ここまでの徹底はついぞ見かけない。
 繰り返すが、ここには異界が作られている。会社経営者や財界人ではなく、クリエイターの仕事だと思う。

 りきみすぎたかなあ? そうでもないと思うけど……。まずもって、彼らは日本で一番優秀なイベント集団でしょう。
 で、そういうのを見てきてしまった今年、私の住む愛知県で万博というものが起こるわけですが……賭けてもいい、いえ、賭けてもしょうがないとまで言いますが、絶対ディズニーのほうが上手だ。あれ以上の人捌きを万博が見せてくれたら、私は丸坊主にしてもいい。


[10:46 2005/02/26 水]  RCB2 002 リカ到着

 寝てたら来ました。

 西濃運輸のトラックから下ろす時けっこう重くて、室内に収納することを危ぶみましたが、段ボールの重さでした。開梱したらけっこう軽い。

 京都で発注した時にサイズは合わせ済みなので、さっそく試乗。
 近所を一周する間に10人ほどの通行人とすれ違いましたが、おばあちゃんが楽しそうでしたねー。「あっれえ?」って。しかし目を合わせない人もいた。
 まだふらついてしまって、スピードはあまり出せませんでした。無理もなくて、昨夜寝る前には風邪で38度あったんですよ。
 また回復したら乗ろう。


[22:25 2005/02/22 火]  JT-60補遺

 核融合炉JT-60の取材をしたとき、掲示板でくわしい方にいろいろ指摘していただいたんですが、第3遊水池のレポートを手直しせずにほったらかしていて、長い間の懸念になっていました。ようやく修正。


[23:50 2005/02/21 月]  RCB2 001

 ここ一週間ほどリカンベントという寝そべり自転車が気になっていたんですが、調査・聞き取り・試乗を経て、今日発注しました。
 機種はSUGIMURA社のNew-PROGRESSIVE-RCB2。


 これの赤

 週末に納車されます。かなり妙ちきりんな乗り物なので、レポートしていきます。


[0:21 2005/02/20 日]  脱稿

 長編脱稿ー、あと穴埋めー。
 なぁんか久しぶりだと思って数えたら、一冊書き上げたのが5ヵ月ぶりでした。おかしい、なんでこんなにかかってるんだ。編集氏には年6冊書けと言われておるのに。
 まあとにかくこれが済んだら短編一本とすぐに次の長編。そして短編集。そして長編。そして長編。そして長編。(ここまで年内らしい)

 そういえば今できたやつのタイトルまだ考えてない。


[14:21 2005/02/08 火]  mixi参加

 mixiに参加しました。まったりやるつもりでした。
 けれどフタを開けたら毎日欠かさず日記書いてやんの俺。ブログと一緒です、サイトの日記と比べて、HTML整えたりFTPしたりって手間がない分らくなんですよ。
 しかし私は三年のネトゲ生活でクローズドコミュニケーションに耐性がある! ハマらないはず! (ぶり返すだけちゃうかと)

 ここ数日、秋山瑞人関係の文を出したり引っこめたりしていましたが、要するに気になり過ぎてて恥ずかしかったんですよ。


[10:30 2005/02/02 水]  構文迷宮

 現在、執筆中の長編が1、脱稿して編集待ちの短編が1です。
 要するに遅れてます、二ヵ月ほど。


[2:38 2005/01/13 木]  ミナミノミナミノ

 この作者がいて本当に嬉しい。