[17:59 2005/12/17 土] トップページ改装 ▼ホームページを作って以来の懸念だった、左右の空間がどうにも寒々しいトップページのデザインを、なんとかしてみました。コンセプトは簡明で心地よい見栄えであること。
これ、ほんとならフレームを作って右と左を分けるべきなんでしょうが、テーブルしか知らないのでそれで済ませてしまいました。多分HTML的には原始的です。
しかしこうなるとバナーがほしくなってくるな。
[12:19 2005/12/14 水] 長期療養 ▼探査機はやぶさが長期療養に入ってしまいました。(松浦さんのブログ参照)。
8日にまた姿勢の崩れが起こったので、一ヵ月ほどの長時間をかけて姿勢が安定するのを待つということに。
こういうと身も蓋もありませんが、着陸の段階でメディアに成果を取り上げてもらえてよかった。あのおかげで「宇宙の藻屑」なんて呼ばれないで済みますからね。
▼今年の仕事は今週でほぼ片付くので、来年に向けた動きを始めます。
8日にSF大賞を逃したのはいい経験でした。ああいう心境を味わったのはデビュー前の投稿時代以来で、懐かしかったです。
[2:24 2005/11/26 土] 上京 ▼上京を前にして仕事に区切りをつけられました。メディアファクトリーの本は予定通り出るでしょう。
▼野尻ボードで、はやぶさは不時着だろうというツッコミがあり、言われてみればその通り、と少しがっかり。工学試験探査機なんだと自分で強調していたんだから、制御外の着陸で喜んでいてはいけなかった。
現在から明日朝にかけてはやぶさがリトライしますが、徹夜でイベントに出演するのもアレなので、寝ます。新幹線のティッカーに成功の報が出ることを期待しよう。
[23:00 2005/11/23 水] 真・はやぶさホッピング ▼はやぶさが本当にホッピングしていました。
マジか。適当に言っただけなのに。
要約すると、はやぶさは自動降下を始めたあとで、地面にやばいものがあると気づいて自律的に緊急離陸しようとしたらしい。しかし自律緊急離陸するには不適当な角度だったのでやっぱりやめとこうと決めて、降下を続行。ただし、自律緊急離陸を一度やろうと決めたあとなので着陸検出モードが作動しなかった。だから着陸した時にも気づかなかった。
同時刻、イトカワに当たった電波を地球で検出して、周波数の変化ではやぶさの速度を検出するドップラー計測は、アンテナが日本系統と外国系統の切り替え途中だったために、使えなかった。だから地球で直接着地を検知することもできなかった。
で、はやぶさ自身のメモリからあとでダンプしたデータを解析したところ、噴射記録とかレーザー距離計とかの記録で、二回バウンドした後に30分間着陸していたことが判明したとのことです。
めでたい。
喜ばしいのはここからで、着陸検出こそ行われなかったものの、サンプラーホーン内のサンプル回収カプセルはふたが開きっぱなしになっているから、ぽんと降りた時の砂ぼこりが飛び込んでいる可能性があるというのです。(松浦さんのブログより)
ということは、万が一25日の二度目の着陸が取りやめになったとしても、小惑星サンプルを持ち帰れる可能性がある。選択肢がぐんと広がったわけだ。
これは生還が現実的になってきたなあ。燃える。
宇宙研の名物学者の的川さんが「「はやぶさ」88万人の「星の王子さま」たちへ」、「ふたたび88万人の方々へ」と題するコラムを出されています。やっぱり一般人的にはここが一番熱いよな。探査機そのものに感情移入して泣けるのはごく一部の人間でしかないわけで……。
しかしだ。実は俺、のぞみには署名を送ったんだけどこっちには送ってない。
うむむ、ぬかった。
[0:50 2005/11/21 月] はやぶさホッピング ▼はやぶさ探査機は公募署名入り部品の投下には成功したものの、どうやら一度目の接地に失敗した模様。残念。
25日の二度目に期待します。
今回はJAXAサイトや松浦さんのブログを始めとして、いろんなソースで情報が出回っていて非常ににぎやかで楽しいんですが、ミッションの成功・不成功という話題となると人によって認識のギャップが大きくて、どこでもギスギスしています。
その辺を一番うまく解消できそうなのは、私としては以下の説明だと思いました。
「はやぶさは工学実験機であって、理学探査機ではない」
"ではない"まで言い切っちゃうのは乱暴なんですが、図抜けた説得力を持つ言葉です。サンプルを持ってくるかどうかはどうでもいい、どうやって作動したかのデータを送ってくることのほうが大事だ、という解釈ですね。
問題は、工学となるとえらく地味な感じがしてしまって、人気が落ちそうなことなんですが……(^^;
――と書いてからしばらくして、まだこのムニャムニャを言い表していないような気がしてきました。
要するにはやぶさってのはひとつのまとまりに見えるけど、ひとつじゃないんだよ。あれはたまたま一個のハコに乗ってるだけで、まるで別々のものの集まりなんだよ。それをひとくくりに評価しようとするから、わけがわからなくなるのだ。そう、オリンピックだと思えばいいかもしれない。オリンピックで一人の選手が負けただけで日本全敗とは言わないでしょう。そして全員が勝つのはものすごく難しい。
JAXAでは「ミッション達成度」なる表を発表しているので、コピーしておきます。
ミッション達成度
・電気推進エンジン 稼働開始(3台同時運転は世界初) 50点
・電気推進エンジン ある期間(1000時間)稼働 100点
・地球スウィングバイ成功
・(電気推進によるスウィングバイは世界初) 150点
・(自律航法に成功して)イトカワとランデブー成功 200点 (現在ここまで成功)
・イトカワの科学観測成功 250点
・イトカワにタッチダウンしてサンプル採取 300点
・カプセルが地球に帰還、大気圏に再突入して回収 400点
・イトカワのサンプル入手 500点
「88万人の署名入りマーカ投下」が書いていませんが、まあ目くじら立てるのはやめましょう。サンプル採取に含まれているはずです。
[14:51 2005/11/19 土] Mio168RS 01 ▼Mio168RSというポータブルGPSナビを買いました。約70000円。
買った理由はしばしば上京時に迷子になるためと、いまカーナビを持っていないため。
・ポケットPCのハードウェアに小さなアンテナがついただけの代物で、カーナビに迫る性能。経路探索と音声案内ソフトあり。
・音声案内はかなり使える。
・起動時の衛星捕捉は一分以下。速い。
・地図の取り回しはやや独特。(十字キーがスクロール対応ではなく拡縮対応で、座標移動は画面タップによる)が、すぐ慣れる。
・拡縮自体はスムーズでなくカクカクするが、すぐ慣れる。
・ナビ時バッテリ5時間(未実測)
・ポケP自体が初体験で、デスクトップウィンドウズとの違いに今でも苛立っている。ファイルユーティリティは理解を絶した悪構造。デスクトップにショトカを置けない理由を問い詰めたい。アプリのクローズに6手順もいる理由も。
・商品構成に1GBのSDカードが含まれている。うち600Mほどがデフォ地図ソフトに食われているが、残り300なにがしが空白で画像や音楽が入る。
・地図ソフトに地下鉄駅名がデフォルトで入っていないのが大いに不満。
市販の地図をGIFで取り込んで追加した。
今のところ有用。
▼まるで飛行感覚で世界中の衛星画像を見られるグーグル・アースに、ここ数日ハマっています。面白いのなんの。
[1:19 2005/11/15 火] Google Earth
その1。五稜郭ではない。
左上から時計回りにコペンハーゲン、その対岸のLandskrona、リトアニア海岸のBaltijsk(バルチック?)、それからラトビアのリガで採取。
この辺の連中は十六世紀ごろにさんざん攻めたり攻められたりして要塞を作りました。その壮大な縄張りが今に残っているというわけ。ヨーロッパ全域の海岸をざっと見ましたが、バルト海に5つと、オランダに1つが発見できました。南岸ではいまだ見つからず。
そう。これ、予備知識なしで流し見していたときに見つけたんですよ。
その2。リガ空港で発見。
上方の白い大型機はバックファイアー爆撃機、左下の胴の太い小型機はMig-25フロッグフットじゃないかと思いますが、右下の異様にでかい六枚ローター(一枚欠損)のヘリはあれか、Mi-26ヘイローか。大好きだ。他にもジャンクがいっぱい。
共産圏のジャンクヤードがこんなにあっさり、しかも繰り返しますがほんの思いつきで、さくっと覗き見できるなんて……。
※11:40 2005/11/16追記
ここはどうやらロシアの飛行機ミュージアムらしいです。でっかいヘリはヘイローよりはるかに古い、Mi-6フックでした……。(参照元)
その3。これはブリテン島中部のイーストミッドランド空港という、ド田舎みたいな地方空港の北側で目撃。
三角形のやつはバルカン爆撃機、双胴のへんなのはヴァンパイア爆撃機だと思います。いずれも50年代の古物。こんなのが畑のそばに無造作にほったらかしてある。県内の人しか知らないローカルミュージアムなんだろうな。
※3:01 2005/11/18追記
上で追記をしたばかりですが、さる方から、ここの双胴の飛行機はArmstrong Whitworth Argosyであり、しかもヴァンパイアは爆撃機ではなく戦闘機である、とご指摘を受けました。訂正します。
▼松浦晋也さんのブログに、小惑星探査機「はやぶさ」のチャレンジについての記者会見が出ています。
[5:02 2005/11/13 日] ミネルヴァの記者会見
まず事実を説明。ここ数日、小惑星「イトカワ」に寄ったり離れたりと予定通りの試行錯誤をしているはやぶさが、積んでいった缶ジュースぐらいの接地プローブ「ミネルヴァ」を接地させようと分離したが、イトカワから予定の二倍ほど遠かったのでイトカワの重力からすっぽ抜けてしまい、あたりをふわふわ漂っている。戻れる可能性はあまりない。
以上。付け加えると今回のはやぶさミッションの目的は、イオンエンジンでの航行、イトカワの捕捉、三億キロ近い距離での遠隔制御、ターゲットマーカー投下、ミネルヴァ投下、はやぶさ本体接地、サンプル採取、そして地球への帰還、などなどツリー型に続いていて、すっぱり成功と失敗に割り切ることはできない。今の時点でも5割以上の成功には達している。
さらにミネルヴァ投下イベントは、その中で最大の重要度を持ってはいない。
スペースシャトルのミッションを百メートル走だとすると、はやぶさミッションはトライアスロンに近い。ラップタイムにも価値はある。
記者会見の問答を見ると、ミネルヴァの失敗に関する質問ばかり。
成功したときにも同じぐらい質問してほしいもの。
個人的にはもちろん残念。ミネルヴァ、変な形をしていて面白いんですよ。
※9:21 2005/11/17追記
缶ジュースよりもうちょっと大きかったです。質量1Kg。
▼ようやく情報解禁。
[2:01 2005/11/12 土] 新作の予定
いま、メディアファクトリーのMF文庫で航空自衛隊の救難隊の話を書いています。
これは新年に放映される予定のレスキューウイングスというアニメと、コミックフラッパーの同名の漫画とのタイアップです。タイアップといってもキャラやストーリーはそれぞれ別々。救難隊の話を書く、ということ以外は私のオリジナルでやっています。
出版は一月末の予定。現在のところ進行は順調です。
▼7月のファイル名がついている日記で11月の記事を書く、この物持ちのよさ。
[0:01 2005/11/08 火] 生存報告
▼生きてます、はい。
今書いている話は出版社のほうの縛りがあってまだ情報が出せませんが、一月には出る予定です。また新しい出版社。
▼掲示板を消したのは、レスがまばらな上にろくなことをしゃべっていなかったからです。正しい解決はこまめに誠実なレスをすることでしょうが、それを重荷に感じるようになったので、うむこれは一度閉鎖してみるかと思い立ちました。
いや、それを言うなら今この場でもたいしたことを話してないのだが。
▼トップをねらえ2! の第四話を見ました。
白状すると今までレンタルしかしていなかったんだけど、今回のをレンタルで見て全巻購入を決意。借りたDVDを二日で十回も見直すなんて何年ぶりだろう。
別にここで推薦はしませんが。――特に推薦しなくたって名作と言われると思うので。
▼いかん、危うく書き忘れるところだった。
ソノラマの「こちら郵政省特配課」と「追伸・こちら特別配達課」の二冊が、合体新装版になって12月に出ます。挿絵は旧作から引き続きこいでたくさん。未見の方はよろしく。
▼ 遊水池の背景の幅が1024ドットしかなくて、それ以上の幅の画面で見ると妙な模様になるのが長年の懸念だった。しかしうちの環境では1024以上の幅の背景を作れないと思い込んで放置していた。
[13:47 2005/09/15 木] 背景改善
今日ふと改善案を思いついて、実行したら2分でできた。
なんだったんだ、この五年余りは。
▼ 台風一過の真っ青な空を見たとたん、万博の二文字が思い浮かんだので、前夜四時間しか寝てないにも関わらず、脊髄反射的に行ってきました。
[21:49 2005/09/08 木] 愛知万博
以下、本日の行動過程。
9:35 バイクで一宮市を出発
10:47 春日井市高蔵寺駅着 愛知環状鉄道に乗車
11:03 万博八草駅到着 シャトルバス20分待ちのアナウンスに従い、行列
11:50 シャトルバス乗車 50分待った
11:59 長久手会場北ゲート着
12:20 混んだ昼食処を避けて、アフリカエリアで屋台食
13:00 アフリカ共同館を見る
13:50 コーカサス共同館でアルメニアブースなどを見る
14:00 ポーランド館に並ぶ
14:10 ポーランド館をあきらめて隣のウクライナ館を見る
14:20 イギリス館を見る
14:40 チェコ館を見る
15:10 会場内の乗り物はすべて行列なので、徒歩で帰途に着く
15:31 ギリシャ館を見る
16:15 帰りのシャトルバスに乗る
16:33 帰りの愛環に乗る
16:50 バイクで高蔵寺駅を発つ
17:40 帰宅
見てのとおり、可能な限り行列を避けました。おや、一番並んだのが行きのシャトルバスだ。
感想は、あまり楽しくありませんでした。イベントは朝早くから行くという鉄則を侵したことを差っぴいても、よくない印象。アフリカやコーカサスなどの小国パビリオンが即売会場になっているのは覚悟していきましたが、人が多すぎて売り手も買い手も殺伐・ぐったりとなっているのはいただけなかった。
大国の展示も肩透かし過ぎ。地球のどこどこに位置する我が国の淵源は今を去ること何千年、などというオーソドックスな展示を求めていったのに、どこも前衛芸術とテクノロジーの無駄遣いばっかりやってんの。変にカッコつけなくていいから、お国の歴史遺物と民芸品をどっさり持ってきて積んでおいてくれりゃいいんだ。そういうのの実物が見たかったんだ。イギリスもチェコもギリシャも腐るほどあるだろうに……。(あ、日本のゲイシャを見たがる外人の心境がわかった)
会場の運営態勢には不満はありませんでした。みんな真っ黒に日焼けして、テキパキよくやっていた。
けれどもやっぱりあちこちのひずみが目について……。
お弁当もペットボトルも持ち込みたいよなあ。それが禁止なのでサンドイッチひとつ、ジュース一本買うにも行列が必要になり、ひどいストレス。ご多分に漏れずあらゆるものが市価より高いし。あんなもの大量一括購入で山のようにさばけるとわかってるんだから、逆に割引にしろっての。
そして噂の除細動器。会場内のあちこちの道端で発見しました。
全部で百個も設置されているらしいです。
ええと、ちょっと待てよ……緊急医療にそういうものが必要なのはわかるけど、優先順位が変じゃないか。常識的に考えて、雑踏の中で突然患者が出たときに、近くの一般人やスタッフがそれを使おうとするかな。しないだろう。まず医術の心得のある人を呼ぶに違いない。で、会場には救急救命士が来るための小型救急コミューターも走っている。
その車に積んどけばいいだけの話じゃないのか。
三人救った実績があるらしいけど、百台……うーん……あるに越したことがないのはわかる、一日十万人のお年寄りが来ることもわかる。しかし、これって分隊全員にスティンガー持たせるようなものじゃないの?
自分の感覚が変なのかなあ。これから先は消火器と同じぐらいの頻度で除細動器を見かける世の中になるんだろうか。
話が逸れましたが、費やしたお金や時間や体力に見合ったものが得られたという気は、あまりしませんでした。
万博を見に行ったのに、万博インフラばっかり見せられたような気がします。
ひとつだけ万博を弁護しておくと、今日は暑すぎてだるだるになってしまったので、点が辛いかもしれません(^^;
▼ 郵政民営化が昨今話題なので、「こちら郵政省特配課」「追伸・こちら特別配達課」を書いたときと現在の認識の違いをちょっと書こうと思ったら、二巻のほうが自宅にすらないことに気づきました。おいおい。
[9:48 2005/08/17 水] 特配と郵政民営化法案01
ええと、何を書こうとしたかというと、当時は今よりも資本主義的な自由競争が華々しく見えたということです。公営であることを盾に事業を独占して大もうけする郵政が、滅びるのは愉快だろう、という話でした。それに自民党の集票基盤である特定郵便局もぶっ潰してしまえって思ってたし。
ところが現在では世の中の風向きが変わりました。肥大化した公的機関をぶち壊せばみんなが幸せになるかというと、ことはそう単純でもない、という具合に。この辺、波及範囲が広すぎて、ウェブを巡っても「郵政民営化で何が起こるか」ということを包括的に述べることのできている人がいないようです。いや、いるのかもしれないけど意見が多すぎてどれかわかんないよ。
それで私としては原点に立ち返ることにしました。郵政民営化で通信が楽になるかどうか。答え、別になりません。少なくとも民営化と直接にリンクはしていない。
まずもって電子メールが葉書を駆逐する、という前提で言っています。原始メールはこの先、情報ではなくモノを届ける手段になります。いや今でもそうか。
残るのは小包を届けるという問題。郵政が民営化されようがされまいが、離島・僻地などに小包を届けるのは儲からず、よそからの資金(税金や基金)で援助しなければならないでしょうから、結局、自由競争のメリットはあまりない。この点からも民営化しなくていいという結論になります。
(そもそも全国一律のユニバーサルサービスを続けること自体が合理的かどうか、と言い出すと、難しいんですが。――そこに住む人の気持ちをまったく考えなければ、島だの山だのに住んでるほうが悪い、ということになる。本土に固まって住めばいいじゃないか、と。しかし人間、そう割り切れるものでもありませんね)
自民党の集票基盤である特定郵便局は悪だからつぶせという議論についても同様。民営化と特定郵便局潰しは直接リンクしていない。潰すのは別の問題として扱わないと。
郵貯と簡保はちょっとややこしかったんですが、民営化してなんかよくなるかと考えたら、今は民間の銀行も保険会社もひーひー言ってる時代なので、そこへ今までお役所体質だった郵政が民営化で割って入ったところで、まともな動きができるとは思えない。ノウハウないでしょ。
まあそんなこんなで結論はこう。民営化するかどうかは問題の焦点じゃない。
結局これは今の地球に普遍的な、「我慢して他人をどれだけ助けるか」という問題の変奏だよな。またこれはSFの面白いテーマの一つでもあるんだけど。
特配課シリーズはお馬鹿なギャグ小説ですが、基本的なところではまだ、今の私と同じ考えで書かれています。見かけることがあったらよろしく。
▼ 帯の惹句にいわく、「日本沈没を凌ぐ傑作」と謳う地球海洋SF。上下巻二千枚の大作だけど、実質一日半で読まされた。口上にたがわぬ大傑作だった。
[13:59 2005/08/11 木] [小説] ハイドゥナン 藤崎慎吾 読了
以下、ネタばらしがあります。
西暦2035年の沖縄、それも最西端の与那国島を舞台に、最先端地球物理科学と古式ゆかしき琉球の信仰がからみあいながら、破局の回避を目指す話。
むう、一言にまとめるのは無理がある。
話の筋は大きく三つあって、一つは主人公の若い男女のライン、一つは噴火と戦う科学者たちのライン、もう一つがエウロパに生命探査機を送ったアメリカの科学者のラインなんだけど、それらの幹にしげる枝葉がすごい。知識とインスピレーションの梢が縦横に張り巡らされて壮大な樹冠を作ってる。その茂り方があまりあざとくなくて、平静に端正に配置されている。小は小道具の「シートパソコン」から、大は「圏間基層情報雲理論」まで、有形無形のガジェットの発想と使い方がうまい。
また、情景が美しい。主人公の岳志が共感覚によって捉えた周囲の光景や、実際の南国の島、海中の景観が、明るく健康的に描かれている。文自体の雰囲気も快活。
迷信を現地の言葉と道具で丁寧に書きながら、明るく前向きなアプローチで科学的に解釈している。もっと言うと科学が敬意を持って迷信と相対している。これがとても心地よかった。
人物造形や会話も自然で、登場人物たちを信用できる。といって紋切り型の善人ばかりというわけでもない。暗く重い情念もところどころににじんでくる。けれども話の基調は明るい。
なんといってもクライマックスの派手さが見もの。ここには書かないけれど、SFの戦闘シーンってこうでなきゃというようなバトルと、絵的なインパクトではそれを上回るバックアップシーンの情景がすばらしかった。
そして、行を改めて書くけれど、冒頭からラストまでをつらぬく主人公二人の運命が、とても哀切で美しい。もうこのストーリーだけでも並みの小説一本分ぐらいにはなるぐらい。
日本沈没と比べて、あえて足りないものをあげるならば、国際関係についての書きこみと、カメラ配置の少なさ、痛みや疲労や消耗やパニックなどの描写の少なさだろうけど、澄んだ美しさと悲しさではこちらのほうが上回っているから、トータルでは負けていないと思う。
群青神殿を何回脱皮させれば追いつくかなあ、と憧れるような話。
▼あと、この直前にサマー/タイム/トラベラーを読み終わった。これがまたすばらしかったのだけど、ちょっとハイドゥナンのボリュームがすごすぎて、感想が追い出されてしまった。どっちも必読、と言っておく。
[0:26 2005/08/06 金] 脱稿
▼終わった。
今回は最後の一週間まるまる潜水していたみたいな感じで、いま非常に解放感がおいしい。
とりあえず明日一日は家事をしまくることにした。家の内外のエントロピーが今、すごい。
[18:46 2005/07/12 火] [アニメ] トップをねらえ! 1〜6話
▼初代を見たのがかなり昔なので、借りてきて見直し。
……これやっぱり、つっこんだら負けじゃん(汗)
いや、つっこみまくるのが正しい見方なのか……。
[23:26 2005/07/09 土] [アニメ] トップをねらえ2! 第3話 ※ネタばらしあり
▼実は第1話と第2話を以前みて、はまった。今日は第3話を借りてきて見た。
噂のマイナス一兆二千万度スマッシュは、よく聞くと小でぶが「理論値、マイナス一兆二千万度」って言ってるんだよね。連中はそんなのがありえないことは知ってるし、この温度がこの世界で実際に観測されたこともない。バスターマシン関連の超科学の検討の中で、そういう温度が算出されてしまって議論百出の段階、という扱いのようだ。
これは別にトンデモじゃない。むしろ正しいSFだ。
けれどもここは別のやり方があったことを指摘しておきたい。
この場面は要するに、敵の大群が一瞬で凍りついて爆発して雪が降る光景を見せるためのシーンだ。そのためには大群が持っているはずの熱を奪わなければいけない。もし通常の物理法則に従ったら、大群が持っているはずの熱の捨て場所がない。絶対零度以下の低温がないから(普通の宇宙空間だと絶対2.7度)。熱を捨てる穴の底が浅いから。「マイナス一兆二千万度」は、それを可能にするために掘られた、とてつもなく深い穴だ。
でもこれは、ウケ狙いを最優先にして掘られた穴だ。熱を奪うための説明的な手段は、もっと他にいくらでもでっちあげることができる(熱吸収フィールドで吸い取るとか、分子震動抑制波で固縛するとか、ワームホールで銀河空隙に送るとか)。
そういうのをぜんぶ無視して痛快シンプルさを求めたからマイナス一兆二千万度になった、ということを忘れてはいけない。
というより、今のアニメはそういうのをぜんぶ無視する方向でOKになってる、ってことが遺憾だ。マイナス一兆二千万度が問題なんじゃなくて、それについての言いわけが不必要になっているのが問題だ。
――などという指摘をメインつっこみに据えて、あと十や二十つっこむことはできるんだけど、もうやめる。この話は、つっこんで訂正するべき話じゃない。作ってるスタッフが、つっこみに対応できる力があるのにほっといて好きなことをやっている、という点で、つっこみに値しない。何も知識なしで無邪気にやってて間違えているんならつっこむ意味もあるけれど、そういう話じゃない。
さて。
嫌いなところの指摘は終わり。あとは誉めたくります。順不同、口調適当。
面白いよ、これ。ダイバスター。燃えどころ連発。
顔がいい。木星都市を守るための、でこ娘の迎撃シーン、二つか三つ技を出すだろうと思っていたら、四つか五つも出してくれた。一つ出すたびに必死の顔で向きを変える、その必死さがどんどんアップしていって、ついに突破されるという段階では、かなり追い詰められた怖い顔になっていた。同時刻のノノとツインテールのにらみ合いも、いい表情と口調。
ノノの成長がいい。冒頭でいきなりまともな仕事をもらっていた。そんなに有能でいいのかと思ったぐらい。いや、この子気に入りました。普通にのびのびしたいい子に見えるぞ? 本当にいい子なのか自分のツボを押されているだけなのか、心配だ。アホ毛が生えてるから、記号的いい子キャラなのは間違いないんだけど。
ノノがいいし、他のキャラもいい。この話は「幼年期の終わり」がテーマのひとつになっているようだ。それを一番体現しているのがヴァンセットのパイロットの浅黒い青年に見える。こいつがけっこう気に入った。役柄難しそう。
小でぶも意外にいい味。地味に好き。
ツインテールは、嫌われ決定みたいな台詞を吐くシーンでちょっとキた。このタイプ、演出の質さえよければ、どうやら好みらしい。
第二話のキャラだけどとんがり帽子もよかった。艦橋に這いつくばって悲鳴を上げてるヘタレなシーンが。
でこ娘はちょっと感想保留だ。この子はメインキャラだから、もっといろいろな場面を見てから気に入っていきたい。
つーか「気に入っていきたい」ってなんだ。もう気に入ることが決定なのか俺。
どうやらそうらしい。
だめだやっぱりつっこむ。つっこまずにはいられない。
冒頭のディスヌフ補給シーンはファーストフードかあれは。
木星急行って結局なにやってたんだ。マグロの魚群か。
木星自身がどうなっていたのか暗くてよくわからなかったぞ。ああ、ガンバスターからの続きか……。
そして全般的にロボットのデザインはもう、手のつけようがない。ほらダサいだろう笑ってくれ、って大声で叫ばれているような気がして、笑うことすらためらう。多分この話は、こんなダサいロボットなのにここまでの名作になった、という伝説になると思う。(私がどういうロボをダサくないと感じているかというと、モーターヘッドみたいなのか、もしくは工事用レイバーみたいなの。前者は作品の中でも芸術品として扱われている。後者はデザインに理屈の裏づけがある)。
ちょっと前までのSFアニメは、まだ設定オタク的な要素があって、読者に世界設定を伝えようってつもりが感じられたけど、この話はそれすらあまりない。見せるだけの話。それぞれの場面が前の場面と地理的にどうつながっているのか、強烈に不明。なぜそんな建物や船や店があるのか不明。来歴も設計も不明。人々がどういう社会のどういう立場なのか不明。出てくる字幕は読ませるつもりがなくて見せてるだけ。敵と味方ロボの止め絵すら少ない。ドントシンクフィールのみ。その割りきりっぷりにあきれる。
ノノがロボットなことの影響はなんかないのか。それ以前に本当にロボットなのか。真空で呼吸できていたけど、何しろこの話のノリだと、それがロボットだからか根性があるからなのかわからない。どこからどこまでが伏線で、どこまでがネタで、どこが無知なのやら……。ロボットにエキゾチックなでこ放射が出せるのか。なに食ってるんだロボット。故郷で何をしていたんだロボット。どうしておっぱいあるんだロボット。ロボットなんだから身体半壊シーンとか出てくる予定なのか。一話で実際に半壊シーンがあったけど、あれはでこ娘の回想オーバーラップなのか、それともノノは本当に半壊していたけど急速回復したという描写なのか。
あああもう、さっぱりわからん。わからんのに楽しくて困る。「楽しさしかない」。これは多分、完結したらうちのライブラリーに入れるけれど、なんか悔しい。
[0:46 2005/07/11 月]
他にもおとなげないことを書いているのに、「モーターヘッドと工事用レイバーが好き」の一節だけが飛びぬけて恥ずかしいのだが、これは一体なぜなんだ。
[4:31 2005/11/23 水]
>これは一体なぜなんだ。
最近わかった。
[22:06 2005/07/04 月] [小説] 消滅の光輪 / [映画] 宇宙戦争 ※ネタばらしあり
▼「消滅の光輪」は眉村卓、ハルキ文庫のSF。
導きの星シリーズを書いたとき、これは消滅の光輪が元ネタだな、という評を見かけたので、その時買った。でも出だし数ページを読んで景気が悪かったので今までほうっておいた。
最近読みこんだら面白く感じたので、1巻から3巻まで一気読みした。
主人公のマセ青年が惑星司政官という役柄で、配下に万能コンピューター群がいたり、始まってすぐにマセが情報官からレクチャーを受けるシーンがあったりと、確かに導きの星がよく似ていた。
最初に読んだ時に景気悪く感じたのは、主人公マセの司政官という職業が、物語の中の時代では斜陽になっていて無力だったから。ロボットもくわしい外見描写がなくて、ただ金属製としか書いておらず、なんだか大時代。萌えなんて概念が生まれる前の作品なので(1981年)、キャラも立っていないし少ない。
けれども落ち着いて読んでみると、敵味方ともに(敵は惑星社会そのものなんだけど)合理的で大人な行動をしている。特にメインサポートコンピューターのSQ1が非常にかっこいい。うちのアルミティたちが戦ったら、演算速度では勝つけど細かい気配りでは負けそう。とてもそつがなくていい機械だった。
ただ、超能力(しかも地味な)が登場したのが気になったところ。作者が出したかったんだろうけど、なくてもよかった。
小説全体は、「SF」っていう言葉から当時連想されたはずの、安っぽいスペクタクル感のない良作だった。
▼「宇宙戦争」はハーバート・ジョージ・ウェルズ原作、スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演。
最初に断っておく。H・G・ウェルズが原作を書いたのは107年前の1898年だ!
たけくらべとか金色夜叉とか高野聖の時代に、レーザーと毒ガスで攻めてきて、バイオハザードで滅びる宇宙人の話を書いたんだぞこの男。それを捕まえてオチがどうだとか伏線がないとかあげつらうのは、おとなげないにもほどがあるからな。
まあ……107年前の話を引っ張り出すなんて古すぎる、と言われたらそれまでだけど。
で、面白かったです。スピルバーグ版。
あらすじを言うと、肉体労働者のお父さんが二人の子供をつれて、化け物みたいに強い宇宙人から逃げ回るというもの。子供たちはどうやら離婚した奥さんに親権があるようで、あまり懐いてくれていない。現代アメリカの世相を映してとてもギスギスしてます。
それだけ。大統領が電話に吠えるとか、科学者がサインペンで黒板に書きなぐるとか、CNNがモスクワの惨状を伝えるとかのシーンは、なんにもなし。
ただひたすら逃げる。そして子供たちに冷たい目で見られる。殴られる。銃を突きつけられる。罵られる。おぼれる。汚れる。眠い。殺されかかる。ふりまわされる。落っことされる。
その末の報酬が、命とちょこっとの笑顔。
そういう意味ではカタルシスも何もありません、この映画。
じゃ何が面白いかというと、それはもう宇宙人の繰り出す三脚歩行戦車の圧倒的な残虐非道っぷり。
まず、でかいんですよこれが。地下からぬーっと現れるシーンで背丈が伸びる伸びる。予想の三倍ぐらいいってのけぞりました。あまり迫力があるので、スピルバーグもずいぶん誇張したなあと思っていたら、原作見たら100フィートなんて書いてあるんですよね、これ。ハヤカワ版だと30メートルか。今作もそれぐらい。元のウェルズがあれぐらいの恐ろしいものを描いてたのでした。
もちろん触手レーザーは標準装備。原作では「人間が黒焦げ」とか「炎に包まれる」とか書いてありますが、映画版は瞬間的に灰になる。この辺はきっちり強化されてます。レーザーがびゅんびゅん飛び交ってそこらじゅうが灰と炎まみれになる。
で、それが鳴く。ぶぉぉぉぉふぉぉぉぉぉぉ、と二段階汽笛みたいな大音声で鳴く。なんとも恐ろしく恫喝的な声で、私が感想書こうと思ったのもこの声を聞いた瞬間です。
お父さんトムが地下室に隠れているシーンで、そのぶぉぉぉに家の周りを行ったり来たりされると、今来るかもう来るかという感じで背筋が寒くなりました。
7階建てのビルにコンビニほどの大きさの頭部が乗っかった代物が、ごすんごすん歩いてレーザーを撃ってくるわけです。
いったんそれが出現したあとは、逃げても逃げても追ってくるという感じで、主人公たちも不幸だなあと。逃げてる最中に道路にやにわに遮断機が下りて、長い列車が炎上しながら走ってきたのはぞっとしましたね。あれはなぜあんなに怖かったんだ、乗客の死の直前の断末魔のように見えたからかな。
米軍はもちろんかなわない。片っぱしから蹴散らされる。反撃シーンもなかなかうまくて、軍がぼんぼん撃ってる間は着弾の光景が出てこないんですよね。着弾点は丘の向こうだからトム視点だと見えない、という扱い。で、しばらくたって軍隊が総崩れになると、丘の向こうから全然ノーダメージの敵兵器が画面いっぱいにぐわーっと現れるという……ああ、巨神兵だ。アニメ版の巨神兵もかくやという怪物がこんにちわなわけです。
後半は一転して廃屋に隠れて敵をやり過ごそうとする場面。この辺りはハリウッド映画お約束の、声を出すな、出したら終わりだ的な展開。あまり宇宙戦争っぽくもなくなるので以下省略。
宇宙兵器の光景と音の怖さで売る映画なので、DVD落ちしてからだとつまんないかもしれません。劇場行くといいですよ。